最近の雑感
mtino1594です. この記事は Math Advent Calendar 2015 に参加させていただいています.
最近は面白く思ってもらえるような話ができるほど勉強していないので, 何を書くか悩んでいたのですが, 授業を聞いたりして思ったことをツラツラと書き下していくことにしました. 読んでも得るものは殆どないと思いますので,暇つぶし程度にどうぞ.
数学を勉強していると,より弱い仮定の下で議論したくなる時が多いと思います. その一方で,勉強する際は具体例にたくさん触れると良い,という話もよく聞くと思います. その,具体例をよく学ぶということが身についていないことを痛感する出来事があったので備忘録代わりに書き残しておきます.
Noether 環というものがあります. 定義を述べておくと,環 が Noether 環であるとは, のイデアルの増大列
が停留的, すなわち適当な自然数 について が成立するときに言います(昇鎖条件).
ここで,次の問題を考えましょう;
剰余環 は Noether 環か?
ここで は有理整数環で は正整数です.
簡単に分かるように, が Noether 環で を のイデアルとしたとき, 剰余環 もまた Noether 環になります. は Noether 環ですから, 後はこれを , として適用すれば終わりです.
ここで私がすっかり忘れていたのは次のことです. それは「 は有限集合である」ということ. そもそも, イデアルが有限個しかないのでどのような増大列をとってきても停留的になるのは当たり前, ということが分かります.
はよく扱っていると自分では思っていたのですが, 問題を与えられたとき,これが有限集合であるということを思い出せなかったのは非常に悔しいところです.
今まで私は単に公式のようなものを暗記してそれに当てはめて計算していただけで, 個々の対象に注目することを怠っていたのではないか. 自戒するいい機会になったと思います. 短いですが, 来年の自分が当記事を読んで「こいつ馬鹿だなあ,こんなの当たり前じゃん」と思えることを期待して筆をおきます.
ここまで読んでくださった酔狂な方,ありがとうございました.